2025/02/16 18:00



はじめに


記憶は私たちの人格や能力に深く関わる重要な脳の機能です。
しかし、記憶力がどのような外的・内的要因によって変化するのかは、これまで明確に解明されていませんでした。
ところが、あるショウジョウバエを用いた研究で、空腹状態が記憶力を向上させるメカニズムが分かりました。


研究の内容と発見


研究チームは、ショウジョウバエの記憶力に対する空腹の影響を調べたところ、
空腹時に「CRTC」という分子が活性化し、記憶が促進されることを突き止めました。
さらに、この現象は空腹時に低下するインスリンによって引き起こされることが分かりました。

また、空腹の度合いによって記憶の向上に違いがあることも発見されました。
適度な空腹状態ではどのような記憶でも長期記憶になる一方、過度の空腹により飢餓状態に陥ると、
食べ物の報酬記憶だけが長期記憶になり、他の記憶は長期記憶にならないことも発見されました。


人への応用の可能性


この研究結果をそのまま人に応用するにはさらなる検証が必要ですが、
記憶を促進する分子「CRTC」をターゲットとした記憶改善法の開発につながる可能性があります。
「CRTC」は、ヒト体内にも存在することが知られており、ヒトでも空腹時に似た仕組みで記憶力があがる可能性があります。


まとめ


今回の研究により、ショウジョウバエでは、空腹が脳の記憶力向上に関与していることが明らかになりました。
この発見を基に、記憶力向上の新たなアプローチが開発されることが期待されます。

「CRTC」は、ヒトにもあるようなので、勉強する際には、適度な空腹の状態だと効率が良いかもしれませんね。


参考文献


東京都医学総合研究所「都医学研NEWS No.010」
空腹状態になると記憶力が上がる仕組みを発見

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