2025/03/07 18:00

はじめに
本レポートは、Templeman ら(2021)の論文「A randomized controlled trial to isolate the effects of fasting and energy restriction on weight loss and metabolic health in lean adults」(Science Translational Medicine, 13(598), eabd8034)を基に、研究の内容を翻訳・要約したものです。
近年、断続的なファスティング(断食)がダイエットや健康に良いと注目を集めています。
しかし、断食の効果が「単に食事の量を減らしたこと(エネルギー制限)」によるものなのか、
それとも「断食そのもの」に特別な効果があるのかは明確にされていませんでした。
本研究は、断食とエネルギー制限の影響を区別して検証することを目的として実施されました。
研究の概要
研究対象: 痩せ型(BMI 20.5-24.9)の健康な成人36名
研究期間: 3週間
グループ分け: 参加者を以下の3つのグループに分け、それぞれの食事パターンによる影響を比較
1日のエネルギー摂取を100%とした場合:
①0:150グループ:1日断食(0%)し、翌日に1日の1.5倍のエネルギーを摂取(150%) → 2日で150%
②75:75グループ:毎日少しのエネルギー制限(通常の75%の摂取)(75%,75%) → 2日で150%
③0:200グループ:1日断食(0%)し、翌日に1日の2倍のエネルギーを摂取(200%) → 2日で200%
研究の結果
体重の変化
①0:150グループ:体重は減少したものの、脂肪の減少は限定的でした。
②75:75グループ:平均1.9kgの減少が見られ、そのほとんどが脂肪の減少でした。
③0:200グループ:体重や脂肪の有意な変化が見られませんでした。
結論
本研究では、毎日少しのエネルギー制限を行うほうが、
1日おきの断食よりも脂肪を効果的に減少させることが明らかになりました。
これにより、「断食が特別な代謝効果を持つ」とする主張を支持する証拠は得られませんでした。
まとめ
・1日おきの断食をしても、翌日に食べすぎると脂肪はあまり減らない。
・毎日少しずつカロリーを減らすほうが、体脂肪をしっかり減らせる。
・断食が特別に代謝を良くするという証拠は見つからなかった。
「断食は辛いけれど、普通の食事制限なら続けられそう」
と考える人にとっては、毎日少しずつカロリーを調整する方法が有効かもしれません。
参考文献
Templeman, I., Smith, H. A., Chowdhury, E., Chen, Y.-C., Carroll, H., Johnson-Bonson, D., Hengist, A., Smith, R., Creighton, J., Clayton, D., Varley, I., Karagounis, L., Wilhelmsen, A., Tsintzas, K., Reeves, S., Walhin, J.-P., Gonzalez, J., Thompson, D., & Betts, J. A. (2021).
A randomized controlled trial to isolate the effects of fasting and energy restriction on weight loss and metabolic health in lean adults. Science Translational Medicine, 13(598), eabd8034.