2025/03/15 18:00



はじめに


本レポートは、Iaoら(2021)の論文「Associations between bedtime eating or drinking, sleep duration and wake after sleep onset: findings from the American time use survey」を基に、研究の内容を翻訳・要約したものです。

就寝前の飲食は「太る」「眠りが浅くなる」と言われがちですが、本当にそうなのでしょうか?
本研究では、アメリカの大規模調査データを用いて、夜食のタイミングが睡眠の長さや質にどのような影響を与えるのかを分析しました。


夜食と睡眠の関係:本当に悪いの?


「寝る前に食べると眠れなくなる?」
そんな疑問を解決すべく、研究チームは2003年から2018年のアメリカ時間使用調査(American Time Use Survey)をもとに、
15歳以上の人々の生活リズムを分析しました。
特に、「就寝の1時間未満」「2時間未満」「3時間未満」に飲食をしたかどうかを基準に、睡眠時間や入眠後の途中覚醒(30分以上のもの)との関係を調査しました。


驚きの結果!夜食は睡眠時間を延ばす?


意外にも、就寝1時間未満に飲食をすると、平均して睡眠時間が延びることがわかりました。
女性は35分、男性は25分も睡眠時間が長くなる!

しかし、入眠後の途中覚醒が増えることも。
女性は2.03、男性は2.64も途中覚醒しやすくなる!
※1より大きいと、発生する確率が発生しない確率より大きいことを示します。

つまり、「夜食をすると長く寝られるが、途中で目覚めやすくなる」 という、なんとも悩ましい結果に。


結論:夜食はほどほどに!


この研究からわかるのは、「夜食=睡眠の大敵」ではない、ということ。
ただし、ぐっすり眠るには、食べる時間を調整することがカギになりそうです。
今後の研究では、どんな食べ物が睡眠の質に影響するのか、さらに詳しく調査が進むことが期待されます。


参考文献


Iao, S. I., Jansen, E., Shedden, K., O’Brien, L. M., Chervin, R. D., Knutson, K. L., & Dunietz, G. L. (2021).
Associations between bedtime eating or drinking, sleep duration and wake after sleep onset: findings from the American time use survey.
British Journal of Nutrition, 127(12), 1888-1897.