2025/09/04 18:00


「少しだけ食べよう」と開けたポテトチップス。気がつけば、袋の底が見えている。もう十分なはずなのに、手だけは次の一枚へ。こんな経験があると、「自分は意志が弱い」と考えがちです。しかし、食べ過ぎは意志の力だけで決まるものではありません。食べ物の特徴に、空腹や疲れ、その場の環境が重なると、多くの人が止まりにくくなることがあります。


「トリガー食」は、決まった食べ物ではない


食べ始めると止まりにくくなる食べ物は、摂食行動の説明などで「トリガー食」と呼ばれることがあります。ただし、これは統一された栄養学上の食品分類ではありません。ポテトチップスが止まらない人もいれば、チョコレートやアイスクリームが気になる人もいます。同じ人でも、昼間は平気なのに、疲れた夜には止まらなくなることがあります。

トリガー食とは、その人の状態や食べる場面まで含めた呼び方です。


「止まりにくさ」はどこから来るのか?


研究では、脂肪と糖、脂肪と塩分、炭水化物と塩分などが一定の基準で組み合わさった食品を「ハイパー・パラタブル・フード」と呼び、食べる量との関係を調べています。日本語にすれば、「おいしさを強く感じやすい食品」といったところでしょうか。


加工度だけでは決まらない


2019年、米国国立衛生研究所(NIH)は20人の成人を対象に、超加工食品を中心とした食事と、未加工食品を中心とした食事を2週間ずつ食べてもらう試験を行いました。好きなだけ食べられる条件では、超加工食品中心の期間の方が、1日平均約500キロカロリー多く食べられていました。また、食べる速度も速くなっていました。

この試験は、参加者が少なく、期間が短い点には、注意が必要です。また、超加工食品の何が摂取量を増やしたのかは、この研究だけでは特定できません。2025年の別の試験では、健康的な食事指針に沿っていれば、超加工食品中心の食事でも体重は減りました。ただし、未加工・低加工食品中心の食事の方が、減少幅は大きくなっています。

※「トリガー食」「ハイパー・パラタブル・フード」「超加工食品」は同じものではありません。トリガー食は人によって異なるもの、ハイパー・パラタブル・フードは栄養成分の組み合わせによる研究上の分類、超加工食品は加工方法に着目した分類です。


食べ物より「場面」を記録する


自分の傾向を知るには、食べた物だけでなく、そのときの状況も数日間記録するのがよいです。例えば、「午後10時、ソファで動画を見ながら。空腹度は10段階で8。大袋のままポテトチップスを食べた。満足度は6、少し後悔」といった具合です。

時間、場所、空腹、疲れ、ストレス、見ていたもの、食べた量を並べると、共通点が見えてきます。問題はチョコレートそのものではなく、「疲れた金曜の夜に、大袋を手元へ置くこと」かもしれません。


対策は、我慢より先回り


食べ始めてから止めるより、食べる前に仕組みを変える方が楽です。大袋のまま食べず、一回分だけ小皿に出す。残りは手の届きにくい場所へ戻す。大容量の商品を買い置きしない。テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食べ」を減らす。こうした工夫は、食べる量が増えやすい環境を変えてくれます。

「夜に動画を見ながら食べたくなったら、いったん画面を止めて、一回分だけ小皿に出す」と決めておくのも一つの方法です。睡眠不足や強い空腹、ストレスによって、食欲や選ぶ食品が変わることもあります。食べ物を減らすだけでなく、夕食の量、睡眠時間、疲れ具合も一緒に見直してみましょう。