2025/10/02 21:00


仕事終わりにハンバーガーを買う。朝は菓子パンで済ませる。そのような手軽な食事に助けられる日があります。そんなときに「ファストフードはうつ病のリスクを高める」と聞けば、食べることに後ろめたさを感じるかもしれません。

この話のもとになったスペインの研究を読むと、食習慣とうつ病の関連が見つかっています。ただし、「食べたから発症した」とまでは言えません。どこまで分かった研究なのか、確かめてみましょう。


約9,000人の食習慣を追った研究


2012年に学術誌に掲載された研究では、開始時にうつ病の診断歴や抗うつ薬の使用がない、スペインの大学卒業者8,964人を調べました。対象のファストフードはハンバーガー、ソーセージ、ピザ、市販のマフィンやドーナツなどです。

追跡期間の中央値は6.2年。医師によるうつ病の診断、または抗うつ薬の使用を自己申告した493人を、新たな発症例として数えました。


発症の起こりやすさ、1.40倍


ファストフードの摂取量で五つの群に分け、年齢、喫煙、運動などを考慮すると、最もファストフードの摂取量が多い群は、最も少ない群に比べ、ハザード比が1.40でした。ハザード比とは、発症までの時間を考慮して、発症の起こりやすさを比べる指標です。

菓子パン類では、摂取量が最も少ない群と、それ以外をまとめた群で差がありました。ただし、こちらでは、食べる量が増えるほど発症も増える、という直線的な関係は確認されませんでした。


食事が原因か、不調が食事を変えたのか


この研究は食べるものを割り当てた実験ではなく、普段の食習慣を追った観察研究です。食事内容を尋ねたのは開始時で、生活環境や心理面の違いをすべて取り除けたわけではありません。

診断される前から不調があり、食事が変わっていた可能性も残ります。実際、追跡開始から2年以内の発症例を除いた分析では、関連は弱まり、統計的に明確とはいえなくなりました。対象がスペインの大学卒業者であることも、日本の食生活に当てはめる際には考慮が必要です。


買って食べる日も、組み合わせは変えられる


食改善に取り組むなら、食事の選択肢を少し増やすところからです。菓子パンだけの昼食が続いていたら、おにぎり、豆腐、野菜を組み合わせる日をつくる。惣菜や冷凍食品も使えます。

農林水産省「食事バランスガイド」の主食・主菜・副菜をそろえる考え方は、コンビニや惣菜店でも使えます。買う場所を変えなくても、選ぶものの組み合わせは見直せます。

うつ病には、生物学的、心理的、環境的な要因などが関わります。食べたものだけを理由に、自分や誰かを責める必要はありません。気分の落ち込みや、好きだったことを楽しめない状態が続くなら、食事の見直しとあわせて医療機関で相談してください。