2025/12/04 21:00

はじめに
まず最初に、大事な前提をひとつ。
マナーはたしかに大事ですが、それにがんじがらめに縛られる必要はありません。
国や文化、レストランの格、一緒にいる相手によって、「ちょうどいい所作」は変わります。
マナーは、破ったら即アウトの絶対ルールではなく、TPOに合わせて自分と相手を楽にするためのガイドライン、くらいの位置づけで捉えるのがおすすめです。
そのうえで今回は、“良かれと思ってやりがちだけれど、フォーマル寄りの場では実はおすすめされない”、そんな間違えやすい食事マナー5つを紹介します。
① ナプキンでテーブルやカトラリー(ナイフ、フォーク)を拭く
ありがちなシーン
水滴やソースがこぼれたとき、
「お店に悪いかな?」と気を利かせたつもりで、
ナプキンでテーブルやカトラリーを拭いてしまう。
本来の考え方では、ナプキンはあくまで、
・口元をそっと押さえる
・指先の汚れを軽くぬぐう
ためのもの。
テーブルやカトラリーを拭くのは、スタッフの仕事です。
こぼしてしまったときは、「すみません、こぼしてしまいました」と一言伝えればOK。
② ナプキンで口をごしごし拭く
ありがちなシーン
ソースや口紅が気になって、
ナプキンで口元を左右にごしごし拭く。
おすすめの所作
・ナプキンは折り目を自分側にしてひざに置く。
・口元をぬぐうときは、折り目の内側を使って“トントンと軽く押さえる”程度に。
折り目の内側でトントンと押さえると、汚れは内側に隠れて、動きも静かで上品。
「ナプキンはこするものではなく、“押さえる”もの」と覚えておくと、ぐっと印象が変わります。
③ パンをそのまま大きく“ガブッ”と食べる
ありがちなシーン
お腹が空いているし、パンが温かいうちに…と、
ロールパンをそのまま大きくかじってしまう。
フォーマル寄りのおすすめ
・パンは一口大にちぎってから食べる
・バターやオリーブオイルがある場合、ちぎったパンの分だけにつけて口へ運ぶ
そうすることで、
・パンくずが飛び散りにくい
・口の中がパンでパンパンにならず、会話もしやすい
など「がぶ飲み・がぶ食い」の印象を避けられます。
カジュアルなカフェや日常の食事では、そこまで気にしなくても大丈夫。
コース料理や少し格式のある場では、「ちぎって食べる」が無難な選択です。
④ スープの器を持って音を立てて飲む
ありがちなシーン
和食の感覚で、スープ皿を持ち上げ、
スプーンを使わず、器に口をつけてズズッと飲む
洋食の基本ルール
・スープはスープスプーンで飲む
・皿は基本的に持ち上げない
もちろん、
カジュアルなスープカップで取っ手がついている場合は、
カップを持ち上げて飲んでもOKなことも多いです。
「器の形が“カップか皿か”」を目安にすると分かりやすくなりますね。
⑤ グラスを“カチン!”と強くぶつけて乾杯する
ありがちなシーン
ドラマや居酒屋のノリで、
ワイングラスやシャンパングラスを、勢いよくカチン!とぶつけて乾杯。
フォーマル寄りの乾杯マナー
・グラス同士はぶつけない
・軽く持ち上げて、目線+笑顔+「かんぱい」や「cheers」を合わせるだけで十分
理由
・薄いグラスは、本当に割れたり欠けたりしやすい
・静かなレストランでは、大きな音が場の空気を壊してしまう
カジュアルな飲み会や居酒屋では、
「カチン!」とやるのは一体感の演出としてアリ。
一方で、
ちょっといいレストラン/目上の人との会食/仕事に関わる席
などでは、“音を立てない乾杯”を基準にしておくと安心です。
まとめ
もう一度になりますが、これらは、守れなければダメな絶対ルールではありません。
TPOによってはOKな場もあります。
大事なのは、
・「知ったうえで、あえてカジュアルに振る舞う」のか、
・「知らないまま、なんとなくやってしまっている」のか
を自分で選べること。
次の一皿で、どれかひとつでも試してみてもらえたらうれしいです。

