2025/12/11 21:00

はじめに
ここで紹介するのは、「日本の感覚から見ると、ちょっと不思議に感じるマナー」であって、「おかしな文化」「間違ったマナー」ではありません。
日本のラーメンの「ズズッ」という音も、外国人からすると「え!?音出していいの?」と驚かれることがありますよね。
今回はそんなふうに、「ヘン=変」ではなく、「ヘン=自分とは“違う”おもしろさ」として楽しんでもらえるように、世界の一風変わった食事マナー3つをご紹介します。
右手しか使っちゃダメ? インド&中東の“右手マナー”
一見ヘン:左手でパンを取るとNG!?
インドや一部の中東・イスラム圏では、食事のときに“右手だけ”を使うのがマナーとされています。
パン(チャパティやナン)、カレー、ライスなどを器用に右手でつまんで口に運ぶスタイル。
日本人からすると「左利きの人どうするの!?」と思ってしまいますね。
背景:左手は“トイレ担当”という役割分担
このマナーの背景には、「右手=きれいな手」「左手=不浄な手」という考え方があります。
右手:食事、握手、物の受け渡しなど、人前で行うこと
左手:トイレまわりや、あまり人前ではしないこと
という役割で長く分かれてきた文化があり、その名残として「食事の場では右手を使う」が今も大切にされています。
とはいえ、どんなお店でも100%手づかみというわけではなく、高級レストランや洋食系では、フォーク&ナイフが出てきます。
ただし、人に何かを渡すときは右手(もしくは両手)が丁寧など、「右手を優先する」意識がベースにあるイメージです。
フォークの“背中”にのせて食べる? イギリス式の不思議
一見ヘン:落としそうで見ていてハラハラ…
イギリスやヨーロッパの一部では、フォークの“背中側”にマッシュポテトや野菜をのせて食べるスタイルがあります。
日本人の感覚だと、「え、裏側!?落ちないの!?」と不安になりますね。
背景:ナイフ&フォークを“持ち替えない”エレガントさ
このスタイルは、いわゆるヨーロピアン(コンチネンタル)スタイルの一種。
右手:ナイフ
左手:フォーク(先は下向き)
のまま持ち替えず、ナイフで食材を押さえつつ、フォークの背に少しだけのせて、そのまま口に運びます。
「たくさん刺して口に詰め込む」よりも、「少しだけを、スッと静かに運ぶ」ことが上品とされてきた歴史があるため、一見非効率に見えるこの方法が、“きれいな食べ方”の象徴になったわけです。
日本人の「フォークのくぼみにしっかり乗せて運ぶ」食べ方は、向こうから見れば「器用だけど、ちょっと“がっつり”してる?」と感じられることもあるようです。
乾杯のとき“目をそらすと不吉”? ドイツ語圏のこだわり乾杯
一見ヘン:「目を見ないと7年不幸」ってホント!?
ドイツなどのドイツ語圏では、乾杯のときにひとりひとりとグラスを合わせる、そのとき必ず目を見て「Prost!」と言う、というこだわりがある地域があります。
「目を合わせないと7年恋人ができない」「不運が訪れる」といった半分ジョークのような言い伝えもあり、とにかくしっかりアイコンタクトするのがポイント。
日本の「とりあえず全員で一斉に“カンパーイ!”」とは、だいぶ雰囲気が違いますね。
ビール大国らしく、乾杯でグラスを合わせる、、一口飲む、そのあとにグラスの底をテーブルにコンと軽く当てる、という動きをする人もいます。
これは、「テーブル(=場)にも敬意を払う」という意味合いで説明されることもあり、お酒との付き合い方に独特の美学を感じるマナーです。
まとめ
自分の“フツウ”は、誰かの“ヘン”かもしれない。
視点を変えれば、ラーメンやそばを音を立ててすする日本、白いごはんをお茶碗で持ち上げて食べる日本も、外国の人から見れば十分「ヘンなマナー」です。
次に海外旅行や外国の友人との食事で、「あれ?なんかヘンだな」と思ったら、ちょっとだけ背景にあるストーリーを想像してみる。
それだけで、マナーは単なるルールではなく、人と文化のドラマに見えてくるはずです。

