2026/02/19 21:00

はじめに
本レポートは、Tessier ら(2025)の論文「Optimal dietary patterns for healthy aging」(Nature Medicine)を基に、研究の内容を翻訳・要約したものです。
研究の目的
本研究の焦点は「病気が少ない」だけではなく、70歳になっても認知(頭)・身体(体)・精神(心)の機能が保たれているという、より実感に近い健康的な加齢にあります。
その達成に、中年期の食事パターンがどの程度関係するかを検証しました。
研究の方法
米国の2つの大規模コホートの食事質問票データを用い、追跡1986~2016年、食事スコアは長期摂取を反映するため主に1986~2010年の平均で評価しました。
対象は105,015人(女性66%、平均年齢53歳)です。
食事は、AHEI(代替健康食指数)、代替地中海食(aMED)、DASH、MIND、健康的植物性食(hPDI)、プラネタリーヘルス食(PHDI)、炎症・高インスリンに関連する指標(rEDIP/rEDIH)など8種類の食事パターン指標への守れている度合いで評価し、あわせて超加工食品(UPF)摂取量との関連も検討しました。
健康的な加齢の定義
健康的な加齢は、70歳まで生存し、主要な慢性疾患11種類がなく、さらに認知機能・身体機能・精神健康が一定水準に保たれていること、と定義されました。
この厳しい条件を満たしたのは、全体の9.3%(9,771人)でした。
主な結果
1.健康的とされる食事パターンは概ね一貫して有利
8つの食事パターンのいずれも、守れている度合いが高いほど健康的な加齢が高い傾向でした。
最も強い関連を示したのはAHEI(代替健康食指数)です。
2.年齢基準を75歳に上げても、AHEI(代替健康食指数)の関連は強い
70歳ではなく75歳を基準にしても、AHEIが最も強い結果が出ました。
3.植物性を中心に、超加工食品を控えめに
健康的な加齢と結びついたのは、果物・野菜・全粒穀物・不飽和脂肪・ナッツ・豆類、および低脂肪乳製品の摂取が多いこと。
一方で、トランス脂肪、ナトリウム、甘味飲料、赤肉・加工肉は多いほど不利でした。
また、超加工食品の摂取が多い人は少ない人に比べ、健康的な加齢が低いと報告されました。
まとめ
本研究が示す方向性は明快です。
食卓の主軸を植物性食品(野菜・果物・全粒穀物・豆・ナッツ)と良質な脂質に置くこと。
肉類(特に加工肉)や甘味飲料、塩分の多い食品、そして超加工食品の摂取を控えることが、将来の頭・体・心の健康に関連します。
注意
本研究は観察研究であり、食事が健康的な加齢を直接因果的に起こすと断定はできません。
また食事は質問票による自己申告で、生活習慣や社会経済状況などの影響が残る可能性もあります。
参考文献
Tessier, A.-J., Wang, F., Korat, A. A., et al. (2025). Optimal dietary patterns for healthy aging. Nature Medicine. 2025 May;31(5):1644–1652. Epub 2025 Mar 24. doi:10.1038/s41591-025-03570-5.

