2026/08/06 21:00

はじめに
家電には説明書があります。薬にも、使用上の注意があります。ところが、お酒はどうでしょう。「飲みすぎないように」「ほどほどに楽しみましょう」長い間、曖昧な言葉で済まされてきました。
そんなお酒に、厚生労働省が説明書を作りました。2024年2月に公表された「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」です。目的は、国民が飲酒のリスクを理解し、自分の状況に応じて飲酒量や飲み方を判断できるようにすること。単なる禁酒の呼びかけではなく、飲むなら、どう飲むかを考えるためのガイドラインです。
何杯飲んだ?では、量が分からない
このガイドラインで重視されているのが、純アルコール量です。「ビールを1本」「ワインを2杯」と言っても、容器の大きさやアルコール度数によって、体へ入るアルコール量は変わります。そこで、お酒の種類ではなく、何グラムのアルコールを取ったか、で考えます。
計算方法は、飲んだ量にアルコール度数と0.8を掛けるもの。たとえば、アルコール度数5%のビール500mlなら、純アルコールは20g(=500ml*5%*0.8)です。0.8を掛けるのは、アルコールが水より軽く、1ml当たり約0.8gだからです。お酒に含まれるアルコールの体積を、重さに換算するために掛けています。
飲む前に上限を決める
ガイドラインが勧めているのは、飲み始めてから「そろそろやめよう」と考えることではありません。あらかじめ飲む量を決めておくことです。酔ってから、自分の飲酒量を冷静に判断するのは難しいものです。「もう一杯だけ」が何度も続き、気づけば予定を大きく超えている。経験のある人も少なくないでしょう。
飲む前の自分と、飲んだ後の自分。判断役に向いているのは、明らかに飲む前の自分です。会食やイベントでも、何をどのくらい飲むかを先に決めることが、過度な飲酒を避ける方法として示されています。
食べる、水を挟む、ゆっくり飲む
説明書には、飲酒のペースを落とす工夫も書かれています。まず、飲酒の前や途中に食事を取ること。空腹のまま飲むより、血中アルコール濃度が上がりにくく、酔いにくくする効果があるとされています。さらに、お酒の合間に水や炭酸水を飲むこと。飲酒のペースを落とし、結果として取る純アルコール量を減らすことにつながります。水を飲めばアルコールがすぐに抜けるわけではありませんが、飲みすぎを防ぐ工夫にはなります。
毎日飲むを、当たり前にしない
もう一つ大切なのが、飲まない日を設けることです。毎日の晩酌が習慣になると、「飲むかどうか」を考える前に、冷蔵庫を開けるようになります。ガイドラインは、アルコール依存症につながる可能性や、1週間の総飲酒量を減らす観点から、定期的に飲まない日を設けるよう勧めています。
やめたほうがよい飲み方
飲み方によっては、避けるべきものとはっきり示しています。1回の飲酒機会で純アルコール60g以上を取る一時多量飲酒、短時間での大量飲酒、他人への飲酒の強要、不安や不眠を紛らわせるための飲酒などです。また、飲酒運転、20歳未満の飲酒、妊娠・授乳中の飲酒は避ける必要があります。体質的にアルコールを受け付けない人や、病気の治療中・服薬後の人にも注意が必要です。
まとめ
このガイドラインは、「ここまでなら安全に飲めます」というものではありません。お酒に飲まれないための説明書です。

